日本版FIPの収益構造(1)
2021年2月16日の資源エネルギー庁審議会において日本版FIPの方向性が概ね決定しました。
今回はFIP制度の主に収益設計についてその概要を説明し、簡易モデル発電所のFIP収入を想定しました。
以下は2022年4月1日から施行されるFIP制度の認定を受けた発電事業者の収入概念図になります。
※経産省「エネルギー供給強靱化法に盛り込まれた再エネ特措法改正法 に係る詳細設計(案)」より抜粋
交付期間:20年(FIT制度からFIP制度に移行する場合はFIT調達期間の残余期間)
精算単位(市場参照期間):1カ月
① 基準価格(FIP価格):入札(FIT制度からFIP制度に移行する場合はFIT価格)
② 参照価格:卸電力取引市場の参照価格(3)+ 環境価値(5)- バランシングコスト(6)
③ プレミアム単価(調整後):(①-②)+ 出力制御コマ調整(4)
<各項の説明>
- 市場参照価格(3)
- 環境価値(5)
- バランシングコスト(6)
- 出力制御コマ調整
- 同一エリア内の風力発電所の供給実績とスポット市場価格(エリアプライス)と時間
前市場価格の加重平均から算出される前年度年間平均市場価格に月間補正を施し当月の参照価格が決定する。
- 直近4回の非化石価値取引市場(非FIT再エネ指定)の平均価格。現状 1.2円/kWh。
- 2022年度に1.0円/kWhから始まり年度毎に漸減される(以下参照)。
- エリアプライスが0.01円/kWhとなるコマではプレミアムは交付されず、それ以外のコマに配分される。
※経産省「エネルギー供給強靱化法に盛り込まれた再エネ特措法改正法 に係る詳細設計(案)」より抜粋
次に具体的に簡易モデルを使ってFIPの収入について説明します。
<想定風力発電所の諸元>
<プレミアム単価の算定>
<当月キャッシュの収入>
環境価値は非化石価値取引市場で売却されますが以下のスケジュールで実施されますのでこの分の収入はかなり遅れることになります。
※経産省「エネルギー供給強靱化法に盛り込まれた再エネ特措法改正法 に係る詳細設計(案)」より抜粋
また、上記の環境価値は直前4回の平均なので上記環境価値と実際の売却単価が異なる可能性があります。例えば、以下の約定価格のパターンが繰り返される場合、環境価値(参照価格に加算される単価)は常に1.2円/kWhとなりますが、実際の7~9月の環境価値は1.1円/kWhで売却されることになります。
これらの条件でFIP発電所の年間収入は以下のようになります。
以上より年間発電量に対する総収入は46,063,000円(税抜)となり、バランシングコストの積上効果によりFIT売電とした場合の収入43,800,000(同)を上回る結果となります。
次回はFIP制度に移行することにより新たに発生する費用について考察したいと思います。
引き続きFIPの実証トライアル(収益試算など)にご参加いただける風力発電事業者様を募集しております、もちろん無料です。ご興味のある事業者様は、お気軽に下記までご一報いただけたらと思います。
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