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日本版FIPの収益構造(2)

日本版FIPの収益構造(2)

前回の終わりで、次回(今回)は「FIP制度に移行することにより新たに発生する費用」について述べたいと記載いたしましたが、費用部分のお話は次回に回させていただきます。ここではFIP制度の根幹部分の内容が2021226日に経済産業省においてとりまとめがありましたので、ここではそれを先に共有したいと思います。内容は盛りだくさんですのでここでは発電事業者の収益に関連しそうなFIP制度内容の要点のみを記載したいと思っております。これまでの記載とかぶる部分もありますがご了承ください。

 

要点1 → 環境価値の売却がFIP発電事業者は可能になりました。 

FIT発電所のもとでは、環境価値は国民の支援を受けているという整理のもと、発電事業者側にはないという事になっておりました。ところがFIP電源に関しては環境価値は発電事業者側に残し、それを市場又は相対で売却できるという事になりました。つまり環境価値は発電事業者がその努力によって高く売れば売るほど収益状況がよくなる仕組みになっています。

FIP電源の環境価値=非FIT電源の環境価値

 

◆要点2 FIP電源は下げ調整力として利用する事が可能になりました。

来年度導入予定の需給調整市場においてFIP電源の下げ調整として利用できるようになります。需給調整市場は送配電事業者の執り行う入札によって募集することになります。そのまま売電した方がいいのか、需給調整市場で入札した方がいいのかを選択することになります。売却する選択肢が増えるという面ではメリットと言えるかもしれませんが変動電源(太陽光、風力)のみを対象とする場合は効果は限定的でしょう。

 

◆要点3 → FIPプレミアム(市場プレミアム)とは別のプレミアムがつく。

 FIP制度下では発電量の予測をし、計画発電量を広域機関に届け出を行いますがそのバランシングコスト名目として1/KWh(毎年漸減)を新たな収入源として受領することができます。もちろんこの中から実際のバランシングコスト分の負担が生じますが、それを最小限にとどめる事でFITにはない新たな収入源を確保する事が可能です。これはとても大きな収入アップの要因です。

 

◆要点4 → 中規模新規FIP電源は入札ではない。 

新規FIT電源の設備認定取得において250KW以上は入札によって新規買取価格が決まるがFIP電源では定格出力2501000KWの範囲内であれば、入札ではなくFIP価格が固定されています。これは認定を取る上において大きなアドバンテージになるのではないかと思います。入札に比べてFIP価格を高く設定できる可能性が大きくなるという面では収益最大化に寄与すると言えるでしょう。

 

◆要点5 → 事後的な蓄電池併設可能、買取価格は不変 

2022年度以降の認定FIP発電所については、パワコンよりパネル側の蓄電池新増設を基準価格の変更なしに認める。これはFIT時代には認められていなかったものでFIP電源の優位な部分であると思います。2022年から直ちに蓄電池をつけるという案件も少ないと思われますが蓄電池の投入が一般化した時には大きな収益をもたらすことが想像できます。

 

以上、FITからFIPに移行することによって何がどう変わるのかを説明いたしました。FIT制度下では国の制度の中で身動きを取れないくらいがんじがらめに規則で縛られていた発電所でありましたが、しかし決まった固定価格での収入がほぼ保証されていた発電所というイメージがありました。一方FITからFIPに移行することによって発電事業としての当たり前の義務は課されるものの、環境価値や管理プレミアム、一部発電規模での非入札方式であったり、将来的には蓄電池増設による収入アップが図れる等制度の柔軟性が飛躍的に高まっているのではないかと思います。FITという固定された収益をただ受け取るだけの世界から、発電事業者としての責任と義務を全うし、自らの努力次第で収益を増加させることが可能になるFIPを選択するか、電力自由化の真っただ中にある我々にとってどの道を選ぶかはこれからの大きな課題だと思うのです。それでは上で述べた努力次第の努力っていうのは何かという事です。

それはFIPで課された当たり前の義務を如何に低コストで仕上げていく事ができるかに尽きるのだと思います。これまで述べてきたようにFIP発電事業者には毎日の発電量報告が義務化され、それによるインバランス負担を求められるようになります。これを如何に低コストで遂行できるかに尽きるのです。株式会社ゼックパワーではドイツインパワー社の15年に及ぶこれまでのドイツでの実績を背景としたVPPシステムを構築しており現在も日本FIP仕様への改変作業を進めています。

FITからFIP電源に移行した際に、収益がどのように変わるのかがわかるような、過去の発電量をもとにシミュレーション(試算)するサービスを提供する予定です。興味のある事業者様は是非お問い合わせください、無料で試算いたします。

 

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