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ZPコラム vol.20 『2023年度の事業用太陽光発電FIT/FIP入札』

今月17日、第83回 調達価格等算定委員会において、2023年度の50kW以上の太陽光電源については主に以下の内容で整理されました。

・入札対象は250kW以上とし、FIT/FIPの区別なく同一の入札枠内での競争となる。
※500kW以上はFIP入札のみ、250-500kWはFIP(入札対象外)/FIT入札の選択制。

・入札回数は今年度と同じく年4回実施。

・入札容量の下限は105MW(初回入札容量、年度中に調整される可能性あり)。

・入札上限価格は初回9.5円/kWhから第4回にかけて漸減。

・屋根設置については入札免除。

FITについては今年度実施された3回の入札で計48MW(74件)の落札にとどまっており、昨年度の同時期に比べ(675MW(410件))、落札容量・件数ともに大きく減らしています。この傾向は来年度も継続するものと想定され、FIT時代は終焉を迎えようとしています。

一方のFIPにおいても、同3回の入札でいずれも募集容量を下回る入札容量となり件数も26件にとどまっていることから、市場が高騰傾向にあるとはいえ来年度に大幅に増えることは想像し難い状況です。

買取価格の低下が最大要因であることは間違いないところですが、系統制約、太陽光発電所の適地減少、手続きの煩雑さ・コストなども相まって、発電事業者が当該制度の利用に消極的になっていることは明確になりつつあります。2024年度の入札案件からは発電側課金も適用されますので、現制度下において太陽光発電のFIT/FIP電源が今後の再エネ導入の起爆剤となり得る可能性は低そうです。

一方で、需要家主導による太陽光発電導入促進補助金の活用が目に付くようになってきました。2022年度の採択案件は少なくとも計209MW(40件)以上にのぼり、予算も今年度260億から来年度360億に積み増しされる見込みです。

国としても、FIT/FIPは賦課金で賄われるため経済的負担が直接国民の目に見えるかたちになるのに対し、補助金であれば国民の直接負担感がなく、再エネ導入施策として使い勝手が良いのかもしれません。