ZPコラム

ZPコラム vol.10『東日本エリアにおける需給ひっ迫に関して』

3月の3連休に近所の公園まで花見に行きました。前週の開花予想では咲き始めということでしたが、穏やかな陽気が続いていましたので少し期待しつつ現地へ足を運びました。残念ながら、まだつぼみの状態で当日の花見は叶わなかったのですが、天気にも恵まれ人もまばらであったこともあり快適な散歩日和となりました。その時点では、22日は雨模様と若干の気温低下が見込まれていたものの、まさか経済産業省大臣が節電を呼びかける事態になろうとは想像だにしていませんでした。

22日の東日本エリアの需給ひっ迫は地震による火力発電所の複数脱落、天候不順による太陽光発電量の低下、気温低下に伴う電力需要増といった「三重苦」が重なったという報道を目にしましたが、裏では、端境期突入に伴う中部・東京間FCの一部計画停止(30万キロワット減)、地震の影響による東京・東北間の連系線容量減(500万キロワット→250万キロワット)という制約もあったようです。

当日午前中のSNSには、電力関係者から諦観や絶望に近いコメントも見られましたが、厳しい状況の中、停電の回避までこぎつけた関係者や需要家の方々には改めて敬意を表したいと思います。また、今回、各メディアに取り上げられ、日本の電力事情が厳しい状況にあるということを多くの国民が認識できたという点では悪いことばかりではないような気もしています。

来年度は更に需給が厳しくなるとの見込みであり、このままですと同様の事態が頻発しかねないうえ、小売電気市場そのものが崩壊しかねない状況になる恐れもあるのではないでしょうか。おそらく何らかの見直しは施されると思いますが、現状では時間軸が見えないため一刻も早い方針が打ち出されることを望みます。

また、FIP事業者においては、経済的には価格高騰は望ましいものだと思いますが、価格高騰は概して再エネ発電の貢献が少ない時間帯であることや、外部環境の激しい変化(例えば、原発の早期再稼働)が生じることで投資が抑制される可能性もあり得ます。

これを機に安定的な電力供給と市場環境が早期に整備されることを期待します。