ZPコラム

ZPコラム vol.24 『インバランス料金の最高価格は維持されるのか?』

需給逼迫時に適用される「補正インバランス料金」の見直しについての議論が始まりました。当初、上限単価は2023年度までは200円/kWh、来年度からは600円/kWhが予定されていましたが、2024年度も上限200円/kWhに据え置く可能性があるようです。ただし、現時点で委員の意見が割れており、先行きは不透明な情勢です。

インバランス料金の上限を巡っては、2021年1月上旬に発生した異常な市場高騰に対応するため、その直後(2021年1月17日)から200円/kWh、同年7月から一定条件の下で80円/kWhに抑えられてきました。

インバランス料金の上限値は、市場価格の形成に大きな影響を与え(需給逼迫時は上限値付近の買い札がおおくなるため)、一般的に上限値の抑制は小売電気事業者に安心感を与え異常な市場高騰を未然に防ぐ効果が期待できます(それでも、多くの小売電気事業者が清算、撤退、新規申込受付停止に至るなど混乱は続いていますが)。

一方で、発電事業者は価格スパイクの恩恵を十分受けられず、発電設備の新規投資に悪影響を及ぼす可能性があります。同様に、DR(デマンドレスポンス)なども価格高騰の恩恵が少なくなるため、市場規模が小さくなる恐れがあります。

我々、アグリゲータの立場としては、インバランス負担の軽減が命題そのものと言っても過言ではないので、上限がある程度抑制されることは歓迎したいと考えています。ただし、行き過ぎた抑制は、市場を歪め、参加者の行動に影響を及ぼすため好ましいとは思えません。難題ですが、その時々で適正な価格を設定してもらいたいと思います。

一例として、(あくまで推測の域を出ませんが)昨今0.01円/kWhのコマが頻発しています。これは買い入札の動向の変化も影響しているのでは?と一部で言われています。0.01円/kWhのコマではインバランス料金が「0」となるため、意図的に買い入札を抑えることで0.01円のコマが実受給以上に多くなっている(つまり、小売電気事業者が必要な供給力を確保していない)可能性を指摘する関係者もいます。

制度設計時には想定していない問題が、最近の電力業界では散見されておりますので紆余曲折があるにせよ、政府や関係省庁には公平で透明性のある市場形成に向けた努力をお願いしたいと思います。