ZPコラム

ZPコラム vol.18 『需要家の脱炭素動向と電力料金高騰の影響』

ここ最近のメディアにおいては気候変動、脱炭素、電力不足、料金高騰とそれに伴う補助金といった、一昔前では考えられないくらい電力界隈の話題が取り上げられるようになりました。我々、電力業界に身を置いている者だけでなく国民的な議論に発展することはとても良いことだと感じていますが、一方で偏向的な報道も一部見られることに少し不安を覚えることもあります。単なる期待や思想だけでなく、エビデンスも重視した冷静な議論が進んでいくことを期待したいと思います。

国内企業においては、従来の脱炭素を目的とした再エネ調達から、最近の電気料金の高騰を受け経済的理由からも太陽光の電力を欲するところが増えているようです。

背景には、JERAがカタールとのLNG長期契約の一部を打ち切り、東京ガスがオーストラリアのLNGプロジェクトの権益を売却するなど、電気料金の将来の予見性はますます困難になってくると思われますが、このような環境下において、ある程度の電気料金変動に対するリスクのヘッジを企業自身が行う有力な手段として捉えられているという一面もあるのではないでしょうか。

一方で、我々が耳にするところでは、全国的な太陽光発電の適地の減少と系統に空き容量がなく連系までに要する時間がやはりネックとなっているようです。また、小売電気事業者の電気料金が再エネ調達価格を上回る現況下において、電気料金に対する補助金はPPAや自家消費との価格差を縮小させることになります。このため、再エネ導入促進という観点ではマイナスになりますが、今は背に腹は代えられないという政府の考えなのでしょう。

このように様々な課題や矛盾を抱えながらも、特に電力料金が高止まりしている局面においては再エネ、特に太陽光の需要は確実に高まっていくため、ここ当面のエネルギー政策は日本のカーボンニュートラルや将来の電源構成に大きな影響を与えることになるでしょう。

一部の再エネ業者においては地元住民との話し合いに真摯に向き合わないなど負の側面を取り上げられることもありますが、再エネそのものを否定する国民は少ないと思いますので、当社も微力ながら再エネの更なる普及・維持に貢献したいと願っております。

先月ご案内した2022年4月から9月までの東京エリアにおけるFIP収益シミュレーションを当社Webサイトに掲載しておりますのでご参照頂ければ幸いです(https://zecpower.co.jp/)。なお、当シミュレーションは今後も定期的に更新していく予定です。