今夏の到来を前に経済産業省資源エネルギー庁は6月29日、10年に1度の厳しい暑さを想定した電力需要に対し、全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できるとの見通しを発表しました。しかしながら東京エリアでは、追加的な供給力対策を講じてもなお7月の予備率は3.1%と非常に厳しく、8月が4.8%、9月が5.3%という見立てでした。
東京では猛暑日の年間最多記録更新を記録するなど全国的に厳しい暑さとなっていますが、OCCTOの電力需給モニタリング結果などをみても、これまでのところ需給が逼迫する状況には至っていないようです。6月から電力価格が値上げされたところですが、節電への協力の呼びかけ(東京)や、予備電源の確保や原燃料の調達管理強化など、政府による2023年度夏季の電力需給対策が一定の成果をあげているとみるべきなのでしょうか。
最大電力実績(東京エリア)
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平均最大電力実績(万Kw) |
平均ピーク時供給力(万Kw) |
平均使用率実績 |
使用率ピーク |
2023/7/2 |
~ |
2023/7/8 |
4,243 |
5,322 |
79.7% |
7/7 13:00 |
2023/7/9 |
~ |
2023/7/15 |
4,615 |
5,417 |
85.2% |
7/12 14:00 |
2023/7/16 |
~ |
2023/7/22 |
4,710 |
5,517 |
85.4% |
7/19 13:00 |
2023/7/23 |
~ |
2023/7/29 |
4,925 |
5,886 |
83.7% |
7/28 13:00 |
2023/7/30 |
~ |
2023/8/5 |
5,013 |
5,907 |
84.9% |
8/4 13:00 |
2023/8/6 |
~ |
2023/8/12 |
4,637 |
5,449 |
85.1% |
8/9 11:00 |
2023/8/13 |
~ |
2023/8/19 |
4,352 |
5,146 |
84.6% |
8/17 11:00 |
出典:東京電力パワーグリッド公表資料をもとに弊社集計
少し気がかりな状況もあります。日本の電力会社が備蓄する液化天然ガス(LNG)が8月20日時点で181万トンと、2022年4月以来の最低水準にまで減少していることが報じられました(https://arab.news/53gnm)。今年5月末時点では271万トンだったものが約2/3に減少しています。この備蓄の減少は、夏の猛暑でエアコンの電力需要の増加と、最近の台風の影響で一部の貨物の配達が遅延していることが反映しているとみられます。
現在も円安は進行し、ガソリンの小売価格は史上最高値に迫る水準にあります。今冬に向けても政府には引き続き、電力市場の安定とエネルギーの安定供給に向けた対策を着実に実施してもらいたいと思います。