ZPコラム

ZPコラム vol.28 『太陽光第17回入札(令和5年度第2回)の結果と今年度の電力市況』

今年度2回目のFITおよびFIP入札結果が公表されました(出力500kW以上のFIP太陽光発電設備 及び 出力250kW 以上500kW未満 のFIT太陽光発電設備)。

<入札の概要>
・募集容量:110.88779MW
・供給価格上限額:9.43円/kWh

<入札の結果>
・入札件数の合計:55件
・入札された再生可能エネルギー発電設備の出力の合計:69.0742 MW

<落札の結果>
・落札件数の合計:55件(内、FIP:43件、FIT:12件)
・落札された再生可能エネルギー発電設備の出力の合計:69.0742 MW
・最低落札価格:8.95円/kWh
・加重平均落札価格:9.30円/kWh
・最高落札価格:9.43円/kWh

前回第16回の入札容量が募集容量(105MW)を超えたため、規定により今回の募集容量は微増されましたが、入札が募集枠を埋めるに至らず、結果として入札案件は全て落札となりました。
前回と異なるのは、FIPの入札件数が13件から43件に増えており、特高が15MWの1件のみであったことです。前回は90MWの落札案件が入札容量の太宗を占めていましたが、今回は高圧案件が分散して落札された模様です。
今後も募集価格は更に低廉化される見込みですが、今回の最低入札価格は8.95円に達していることから今後も一部の事業者においては入札動機は継続するものと推測されます。
また、FIPにおいては、運用開始時期によって受け取れるプレミアムが大きく変わる可能性があるので、この辺りの事業計画や具体的なスキームをどのように策定しているのか大変興味があります。

今年度のこれまでの太陽光発電における市況について、東京エリアにおける春季の電力市場価格は低価格で落ち着いていたのですが、夏場に掛けてやや高値傾向が継続しています。日中帯においても極端な価格下落傾向は見られず、今回の入札価格を十分に上回る水準となっています。とは言え、4月から8月までの加重平均価格は手元の計算では9円程度です。これが九州となると、4月から7月までで3円程度と東高西低が顕在化しています(因みに北海道の4月から8月の加重平均価格は11円程度です)。もちろん、プレミアムが支払われるので、これがそのまま事業者の収入に直結するわけではないのですが収益の予見性は地域によっても大きく変動するため、かなり難しいというのが率直な感想です。

このように再エネを取り巻く環境はよりチャレンジングなものになってきていますが、ステークホルダーの方々とともにこれを克服すべく挑んで行きたいと思います。